ファンタジア大賞出身作家インタビュー

木村心一
第20回ファンタジア大賞〈佳作〉。「これはゾンビですか?」でデビュー。
京都出身。そばかうどんかではうどんの方が好きだが、東京で住むにつれてそば好きに。
今は地元に戻り、うどん好きへと回帰した。
俺は1000の召喚獣を持っている。君は?

イラスト:希望つばめ

受賞作は、どんな作品ですか?
『どんな』と問われれば『変な』と答えるしかないような作品です。
よく本を書いていると言うと、ジャンルはなんですかと聞かれ、サスペンス? まあサスペンス要素もあるかな。
コメディ? コメディ要素も強いかな。バトル? バトルもするかな。ホラー? ホラーっちゃあホラーかな。
――と、闇鍋のような状態になっていると思います。
受賞作を執筆中に、特に意識していたことを教えてください。
ヒロインの言葉遣いと名前。
そして最終巻の終わり方。
こう終わるためにはどう進めて行けばいいのかという逆算で話を作っていきました。
最終巻の次期を『四月』と決めていたために、全巻の半分以上が『冬』という魔のスパイラルに陥った。
なぜ、それを意識されていたのでしょうか? 狙い・意図を教えてください。また、それは達成できていたと思いますか?
ヒロインの一人であるハルナは、誰かに相談することをせず、自分で全てを解決するキャラクターだったため、「〇〇だね」と最後に「ね」を付けると了承を得ようとしている気がしていて、そういうときは「〇〇だ」「〇〇だな」と断定させるように心掛けていました。
名前に関しては、本名と偽名があるキャラクターが多かったので、ヒロインたちの本名には『ラ行のどれか』が入り、偽名には『ラ行が入らない』という遊びの部分を入れていました。
メイル・シュトロームは本名。吉田友紀は偽名と行った具合に。
ところがその自分で決めたルールを完全に忘れてしまい、星川綺羅々という名前を付けてしまったりして、このルールは自分の中で無かったことにしました。
なので、他の『意識していたこと』も達成出来ていたかは不安が残ります。
ファンタジア大賞に投稿された理由はなんですか?
やはり、好きな作品が多かったからですね。
受賞するまでに、どのくらい書いて投稿してきましたか?
投降した本数で言うと4ぐらいかな。書いただけなら10ぐらいでしょうか。
頭の中にあった構想では20ぐらいはあったような気はします。
それらのいいところ、特にキャラの部分をぎゅっと集めて一つの作品に落とし込んでました。
投稿後、「もっとこうしておけば」と思ったことがあれば教えてください。
投稿時、この作品ではタイトル通り、主人公はゾンビでした。
人を食べていたのです。
さすがに読者を引かせるような行為はやめておくべきだったと思い、本にするときはなかったことにしました。
その結果、「どこがゾンビやねん」と言われるようになりましたが、むしろそれがタイトルに繋がったかなと思います。
受賞する自信はありましたか?
出る前に負けること考えるバカいるかよ(アントニオ猪木風)
十点です。確かに僕は料理人としてまだ半人前かもしれない。でも自分の舌と技術と心の限界で作り、最高と信じて出す料理に料理人として満点以外なんて付けられません(リュウ・マオシン風)
受賞作に対する評価については想定通りでしたか?
想定以上でした。審査員の方々の慧眼には敬服します。
受賞後、意外だったこと、大変だったこと、強く印象に残ったことなどを教えてください。
先ほど、『もっとこうしておけば』という質問がありましたが――
実はこの作品、事件の真相や犯人が投稿時と出版時では異なります。
犯人はどうせこいつだろうと思ったらこいつだった。すぐ分かったわーって友達に言われましたが、本当はそれミスリードで真犯人は別やったんやで! と逆に「こうしたくなかった」ところもあります。
ですが、それは単一の作品とシリーズでやろうとしている作品での差異であり、変えたという判断は正しかったと確信しております。
作品作りにおいて、何を重視していますか?
やはりキャラ、特に『喋り』でしょうね。
音楽業界とお笑い業界と出版業界は似ているという持論を持っていて、ギャグやしゃべくり漫才が好まれた頃、歌詞が重視され、ストーリーが重視されていた。
漫才のテンポが速くなるにつれ、ロックやポップス、歌詞よりむしろミュージックのリズムが重視され、過激で奇抜な設定を重視されていたのではないかと考えます。
そして今はどういうギャグにするか、どういう曲にするか、話にするかではなく。
誰がギャグを言うのか、どういうアイドルが歌うのか、どういうキャラが喋るのかが重視されるべき時代だと考えます。
まあ、ちょっと過激で奇抜な設定の時代に戻ってるような気もしますが、まだ最も重視すべきなのはキャラでしょうね。
どんな作家を目指していますか?
手塚治虫は一度書いた原稿を全て記憶していて、締め切りがやばくなったときに何ページの何コマ目にある背景と何ページの何コマ目にあるキャラを合わせて〜みたいなツギハギで原稿を仕上げたことがあると聞きました。
書いたことに責任を持ち、忘れずにおく。これが出来るようになりたいですね。
これからファンタジア大賞へ応募する方たちへ、メッセージをお願いします! 
よーし! いいかお前らっ! 小説を書くなら、しっかりと『謎』を入れるんだ! 
謎も事件もない小説を小説と呼べるだろうか? ただ戦って終わりの作品で受賞するのは難しいぞ! 
ほんのちょっとの些細な謎でもいい。読んだあとに、あーなるほどなーと言わせてやるんだという気概を持て! 
そして、あらすじはしっかりと全部書こう! もう中の内容読まなくても面白いだろこれ、どうだ! と語れるぐらいあらすじでばっしーんとイてもうたれ!
『インパクト』とは、『他人に言いたくなる要素』だと思っています。
その他人に言いたくなる要素を、もうタイトルからあらすじから、初っぱなから心を鷲掴みにするようなぐいぐいの作品を作るんだ。
カレーとカツ丼が食べたいであろう外人に、カツカレーを食わせるような作品を――
食わなきゃ分からないではなく、もう見るからに絶対美味い奴やと言わせるようなアピールをあらすじに放り込んで欲しい。一番大切なのは、『面白かった』ではなく『面白そう』なのだから。
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